出生前診断とは、出産前に赤ちゃんの健康状態を調べる検査のことを指します。先天性の疾患などがないか、詳しく調べることが可能です。
近年、出生前診断を受ける割合は増えていると言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
そこで今回は、出生前診断を受ける割合、検査の内容など、詳しくまとめてみました。
これから出生前診断を検討しているのであれば、きっと参考にしていただけるはずです。
出生前診断を受ける割合
結論から先にいいますと、出生前診断を受ける人の割合は、増加傾向にあります。
信憑性の高いデータによると、1998年に10419件から増加の一途をたどっているのです(参考:日本における出生前診断の受検状況)。
2016年の最新のデータでは、18600件でした。
30代後半以降が最も多いのか?
また、出生前診断は、認定施設、認定外施設に分かれています。それぞれ検査条件が異なっており、認定施設の場合は35歳以上でなければ検査を受けることはできません。
そのため検査を受ける人の年齢は39歳が一番多く、続いて38歳、37歳となりそうですね。なお、出生前診断を受ける割合を年代別で調べてみましたが、詳しいデータはありませんでした。
とはいえ、先にお伝えしたとおり、30代後半が最も多いといえそうです。
20代の受ける割合
出生前診断の受検条件から35歳以上の30代後半の割合が多いと推測しました。
しかしベビカムリサーチによると(2010年とデータは古い)、20代(10代含む)の出生前診断の受ける割合は、346名中20名と約5%程度と30代後半(約7%)とさほど変わらないことがわかります。
つまり、自身の年齢にかかわらず出生前診断を希望する方が多いようですね。
陽性だった約9割が中絶を選択
ちなみに、このあと詳しくお伝えしますが、出生前診断で陽性反応が出た場合、羊水検査を実施します。
実際の数値によると、出生前診断を行った約3万人のうち、陽性反応が出たのは約550人程度。そのあと羊水検査を受けたのは約460人程度です。
さらにそこから異常が見つかったのは410人前後と言われており、その内の400人は中絶をしています(参考:染色体異常の9割中絶)。
このことから「命の選別」という課題が挙げられ、今後の出生前診断の規制につながる可能性があります。
出生前診断とは?
冒頭でも少し触れましたが、出生前診断とは赤ちゃんの健康状態を調べる検査のことでです。
主に染色体疾患を調べることになります。
出生前診断は、非確定検査と確定検査に分かれているため、それぞれ詳しくみていきましょう。
非確定検査とは?3種類
非確定検査は、3種類に分かれます。
超音波、採血のみの検査となるため、流産するリスクがほぼないといっても過言ではありません。
陽性反応が出たとしても、診断が確定されたわけではないため、その後さらに専門的な検査を受ける必要があります。
それでは、3種類の非確定検査について、それぞれ見ていきましょう。
新型出生前診断(NIPT)
新型出生前診断(NIPT)とは、採血による検査のことです。
血液中に含まれる赤ちゃん由来のDNA断片を解析し、染色体異常がないか調べることができます。
染色体異常とは、ダウン 症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトー症候群(13トリソミー)のことです。
精度は99.1%ほどと高めですが、陽性反応が出たとしても確定ではありません。
結果がわかるまでの期間は、最短6日から14日ほどです。
詳しくは当サイトトップページの「NIPTの手引き」をご覧ください。
新型出生前診断とは何か、検査からわかること、検査方法や費用などをわかりやすく解説しています。
コンバインド検査
コンバインド検査とは、超音波による検査と、採血による検査を同時に行う方法です。
2つの検査を受けることで、ダウン 症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトー症候群(13トリソミー)についてより詳しく調べることができます。
超音波のみの検査よりも検査精度は高いものの、おおよそ90%前後です。検査の結果がわかるまでには、大体14日ほどかかります。
母体血清マーカー検査
母体血清マーカー検査とは、採血による検査のことを指します。
4つの血清マーカー(タンパク質)を調べることで、ダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)の他、開放性二分脊椎症の可能性の有無がわかる仕組みです。
検査精度は80%ほどといわれています。結果が出るまでにかかる期間は、14日ほとです。
さらに詳しく
確定検査とは?2種類
確定検査とは、先にお伝えした非確定検査で陽性反応が出た場合、より詳しく調べるために実施する検査のことです。
名称のとおり、診断は確定となります。検査方法は2種類ありますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
絨毛検査
妊婦さんのお腹に針を刺して、絨毛の細胞を採取する検査です。絨毛とは、最終的に胎盤となる部位のことを指します。
赤ちゃんの染色体のカタチや数を詳しく調べることが可能です。
妊婦さんのお腹に針を刺すことになるため、流産、破水、早産、母体生涯などのリスクを伴う点がネックとなっています。
死産となる可能性は、100人に1人程度の割合です。
ちなみに、検査の結果、陽性反応が出たとしても、染色体疾患がないケースもあります。結果がわかるまでにかかる期間は、2~3週間前後です。
羊水検査
羊水検査とは、子宮内にある羊水を採取する検査です。
妊婦さんのお腹に直接針を刺して、羊水を採取することになります。
赤ちゃん由来の細胞を調べることができるため、染色体疾患の有無をより詳しく調べることが可能です。
ちなみに、絨毛検査と同様、検査にはリスクが伴います。
破水、子宮内感染、草案、母体障害など、合併症を発症するケースが少なくないようです。
流産や死産となる確率は、300人に1人程度となります。
絨毛検査より確率は低いものの、検査を受けるときは慎重に実施しなければなりません。結果がわかるまでには、2~3週間ほどかかります。
まとめ
一言で出生前診断といっても、検査には種類があります。
結果を急ぐあまり、いきなり確定検査を受けるのではなく、まずは母体や赤ちゃんへの負担が少ない非確定検査を受けるようにしましょう。
特に新型出生前診断(NIPT)は99.1%もの精度となっているため、ある程度の正確な状態を知ることができます。
ちなみに、クリニックや病院によっては、非確定検査しか実施していないことがあるものです。
万が一に備えて、確定検査実施の有無、もしくは提携病院の有無も調べておきましょう。